2016年3月、時計に関するドイツ工業規格が発表されたのは、この数十年の間で初めての出来事でした。それはパイロットウォッチのための規格DIN8330です。その基礎となったのはパイロットウォッチ標準規格 TESTAFです。TESTAFの立ち上げの際に開発されたさまざまなテストを標準化し、新しい規格として最適化したものが、DIN8330であると言えます。

パイロットウォッチの時間計測テクノロジー
飛行機の歴史は時間計測テクノロジーと密接に関連しています。テクノロジーの発達に触発されて、パイロットウォッチの開発が進んだとも考えられます。
その一方で、パイロットウォッチならではの機能的、技術的また外観に求められる要件があるにもかかわらず、近年はパイロットウォッチというカテゴリーが形骸化している傾向があります。パイロットウォッチという定義が、その条件を満たしている洗練された時計を指すと同時に、標準的なそれらしいデザインの腕時計にも使われています。ジン社の発案に応じて、ドイツ工業標準化協会(DIN)は2013年夏にパイロットウォッチのための標準規格を確立することを決議しました。そしてついに2016年3月にパイロットウォッチのためのDIN8330が公開されました。


パイロットウォッチ新規格DIN8330

“コックピットの時計が壊れたら、飛行機は決して離陸しない”
これは、パイロットウォッチ技術標準規格(TESTAF)を作るうえで助言を求めたパイロットが語った決定的な言葉で、飛行機に時計を装備するのは必須であるという意味です。メーカー、オペレーターあるいは企業・団体が定義した環境にもよりますが、時計の調子が悪く時間計測に問題が生じると、飛行中のオペレーションが制約を受け深刻な金銭的損失が発生する原因となる場合もあります。
DIN8330を見据えてTESTAFの開発を最優先した理由は、DINに準拠し、任務遂行のための装備として、また飛行機の時間計測器機として、オールラウンドに対応できるものを正式なパイロットウォッチとする、という考えが基本にあったからです。

DIN 8330 - パイロットウォッチのための初めてのDIN標準規格
時計分野のドイツ工業規格については、国内外で何年もの間高い関心を集めていました。ジンが要請し積極的に協力した甲斐あって、10年来のドイツ初時計標準規格DIN8330がパイロットウォッチプロジェクトの一環として2016年に発表されました。
この規格は、企業、民間問わずあらゆる種類の航空形態で使用するための、機能的に安全で信頼できるパイロットウォッチに必要不可欠な要件を規定するものです。ジンはこのプロジェクトでも実証されたように、パイロットウォッチ分野において数十年に及ぶ経験と専門知識を蓄積しており、新しく優れたテクノロジーの開発に今後も飽くなき挑戦しつづけていきます。

DIN8330では、飛行機やヘリコプターの装備品に厳しい基準を設けており、それを腕時計にも適用しています。操縦中のパイロットが使用する上で、DIN準拠の時計が他の装備の代用として使えるだけでなく、飛行中の身体的ストレスの影響を受けずにクルー達へのリスクの可能性を無くし他の装備品との互換性もあることを証明するために、DINではさまざまな基準を設けています。DINラベルを添付することが許されるのは、DIN8330のすべての要件を満たした時計のみです。

他の飛行計器と同等の耐久性を持つ航空スペックを備えた腕時計ということになると、それ相応の条件を満たしたものでなければなりません。DIN8330はその条件の内容を定義したものとしては史上初で、これまで同じような規定は存在しなかったのです。
(写真) パイロットウォッチプロジェクトの中心メンバー(左から右へ):: マーティン・ホッホ博士(DIN8330プロジェクトリーダー)、カール・ヴェンツェルスキ(DIN)、フォルカー・バウ(エアバスヘリコプター)、アルノー・ガーベル(ジン社)、ヴォルフガング・ショーネフェルト博士(ジン社)、ヴォルフガング・レビガー(ルフトハンザカーゴ)、マイク・ガゲルン(DNV-GL)、フランク・ヤンザー(アーヘン応用科学大学)、ヨルグ・シャウアー(ストーヴァ)顔写真なし

TESTAFからDIN8330へ
パイロットウォッチ標準規格TESTAFは、アーヘン応用科学大学とジン社が共同で開発しました。DIN規格はTESTAFを基本として、さらに一歩踏み込んだ拘束力のある規定となっています。

航空スペック
DIN標準規格を作り上げるプロセスでは、航空スペックを体系的に考察し実践していくことが大切になってきます。時計の機能的要件は、EU-OPS(欧州連合の航空要件)、JAR-OPS(商業航空輸送に関する共同航空要件)等の公共機関や企業で検証されています。

外部ストレスへの耐性
外部ストレスへの耐性に関する項目は、EUROCAE ED-14GおよびMIL-PRF-46374Gその他に含まれる規定に基づいています。航空スペックに加え、防水性、耐衝撃性、精度などのDIN関連規定も考慮されています。なかでもパッキンと無反射コーティング技術は、飛行中に発生する水分から時計を守りまぶしさを防止する上でとくに重要で、この項目が腕時計のために導入されたのは初めてのことです。周期的圧力テストは地上の空気圧と与圧室内の圧力の範囲内で数千回圧力設定を変更して行うテストですが、これまで腕時計について実施されたことはありませんでした。

安全性および互換性
最終的にDIN基準によって安全性および他の装備品との互換性が保証されることになります。コックピットの計器類や航空電子機器を磁場から守り、MIL-STD-3009準拠の暗視装置との互換性を含み、光反射防止やストラップの正しい装着にまで言及しています。

DIN8330に準拠したジンのパイロットウォッチの展望
航空機の主要計測機器に不具合が発生しても、コックピット計器類の修理が行われるまでの間、DIN準拠パイロットウォッチを代わりに使用すれば運航を継続することができるという認識が広まることが、DIN8330が掲げる目標です。具体的には以下のような内容です :
・航空機の可能性の拡大
・応急処置よりも飛行中の安全性の拡大
・計器類の初期不良が起きた場合、当該パイロットと運航者を法的に保障すること

ジンはこの目標を実現するため、世界初DIN準拠のパイロットウォッチ3種を発表しました。

モデルの詳細はこちらから >>